腰椎すべり症

腰椎すべり症

 

 

60代 会社員 戸田市

 

主訴 両臀部の痛み、両下肢の痺れ

 

30年前、腰椎すべり症と診断、手術を勧められるが、手術は選択せずに水泳など運動療法で凌いできた。

1年前から痛みが強くなり、整形外科にてブロック注射を受け、疼痛と緩解を繰り返す。

数か月前より、立位、立ち上がりの痛み、歩行2~3分で痺れ、歩くと力が入らなくなり階段で足がもつれ、感覚がなくなるような症状が出るようになった。

仰臥位で眠れなくなり、側臥位でしか眠れなくなった。

日常生活に支障が出ており来院を決意された。

 

視診 腰椎後弯

触診 右仙腸関節/脊椎全体/股関節に制限 C1右変位 L4前方すべり 右臀部のトーンが高い 左下部腰椎関節が狭い

 

筋力検査 左母趾伸筋 左弱化

整形外科テスト 異常所見なし

その他 左片足立ち不可

腰部 右側屈時 右大腿筋膜張筋(+)

   伸展   腰部(+)

   寝返り  左中殿筋(++)

 

評価 症状の一番の要因はL4の前方すべりと思われ、すべりを伴う下部腰椎の器質的な退行変性がL5神経を絞扼していると推測する。過去に消防士をされていて、身体を酷使していたことに加え、現在においても腰部に負担のかかる仕事や生活習慣がさらに悪化の原因と思われる。

仙腸関節/脊椎全体の機能を回復することで、負担を分散させ、すべり部位、下部腰椎に対する負荷を逃がすことで、一定の結果、改善につながると考える。

 

治療計画 

・筋緩和操作

・仙腸関節/股関節/椎間関節のモビリゼーション

・C1/C2 上部胸椎 胸腰移行部中心にモビリゼーション

・L3~仙骨に牽引操作

・星状神経節、左L5神経根 スーパーライザー照射

 

(中略)

 

7回の施術にて、7~8割症状改善。

 

【まとめ】

 

WHOガイドラインが提示する、脊柱マニュピレーションの禁忌症に、退行変性のすべり症は相対禁忌である。

今回のケースは当てはまるが、該当する部位に対するスラストは加えずに、徐々に関節を動かしたり、軽く持続圧を加え、関節の可動域を改善させるモビリゼーションであれば有効と考えた。

慢性的な筋緊張を緩和させ、星状神経節へのスーパーライザー照射および椎間関節へのモビリゼーションにより、脳神経抑制系低下、交感神経亢進による筋スパズムが軽減、下部腰椎に対する牽引操作、重力負荷に対する除圧効果、左L5スーパーライザー照射が長母指伸筋の回復、しびれ等の神経症状改善に効果が認められたと思われる。

すべり症に対するポイントは、腹横筋、日常動作および姿勢が重要と考え、腹横筋を上手に活用することで、腰椎を安定させ、日常の動作、姿勢、主に腰椎骨盤の屈曲意識を高めることにより、すべり症が改善するケースは少なくない。

モビリゼーション等のごくわずかな矯正効果(0.1mm~1㎜程度)かもしれませんが、微細な血管や神経の流れ、伝達を促進させることが出来たと考える。