意外に思われるかもしれませんが、夏場には「ぎっくり腰」が多く発生する傾向があります。
一般的には、身体が冷える冬に多いと思われがちですが、実際には冬場は比較的発症が少ないです。
その理由の一つとして、気温が低い冬は活動量が自然と抑えられ、体への負担や疲労が蓄積しにくいことが挙げられます。
ただし、例外として年末年始は発症が増える傾向があります。
この時期は「忙しさ」「暴飲暴食」「睡眠不足」「普段しないことをする」といった要因が重なりやすく、知らず知らずのうちに体へ大きな負荷がかかるためです。
一方、夏場は気温が高く、汗をかく機会が増えます。
汗をかくということは、それたけ活動量が多く、疲労が蓄積し自然と細胞レベルで体が疲弊していくのです。
そのため、疲労が蓄積しやすい8月〜9月前半にかけては、特に注意が必要な時期と言えるでしょう。
突然起こる腰の痛みは、本当に辛いものです。
不覚にも、私自身も何度か経験しており、その辛さは身をもって理解しているつもりです。
多くの方が、突然の発症に際して、次のような不安を抱かれます。
「なぜ、こんなことに…」
「なぜ私が?」
「このまま歩けなくなるのでは…」
「明日の仕事は大丈夫だろうか…」
「骨がずれた?ヘルニアかも…」
しかし、実際には、多くの場合、心配のいらない「筋・筋膜性の捻挫」や「筋肉の痙攣」によるものです。
※ただし、ごく稀にですが、命に関わる疾患(例:解離性大動脈瘤など)が背景にあるケースもあります。
安静にしていても強い痛みが続く場合や、普段から血圧が高めの方は、念のため早めに医療機関へ相談されることをおすすめします。
また、
緊急性が低い可能性が高いケース
・動かすと痛い/特定の姿勢で痛い
・押すと痛い(圧痛がはっきりある)
・楽な姿勢が見つかる
・痛み以外の全身症状がない
これらは 筋・筋膜性の可能性が高いことが多いです。
緊急性の可能性が高いケース
・胸や背中に激しい痛み
・冷や汗が出る(他の症状を伴う場合)
・意識がもうろうとする
・今まで経験したことのない 突然の激痛
・痛みが 姿勢や動きで変わらない
これらの症状が複数重なっている場合には、ためらわず救急車を呼んでください。
命に関わる疾患が隠れている可能性を否定できない症状です。
結果的に大きな問題がなかったとしても、それは決して、大げさや無駄なことではなく「呼んでよかった判断」と言えます。
腰が痛くなる原因はさまざまですが、ここでは基本的な例をいくつかご紹介します。
[睡眠不足]
最低でも7時間程度の睡眠は確保したいところです(理想は8時間、9時間でも問題ありません)。
横になることで、椎間板にかかる重力の負荷を取り除くことができ、日中に蓄積したストレスからの回復が促されます。
[同じ姿勢が長時間続くこと]
「姿勢が悪いから腰が痛くなる」と思われがちですが、それだけが原因ではありません。
座りっぱなし・立ちっぱなしなど、同じ姿勢を長時間続けると、腰周囲の筋肉や椎間板に局所的な負荷が集中します。
特に座位では、立位よりも椎間板内圧が高くなるため、こまめに姿勢を変えることが重要です。
大切なのは、「良い姿勢」とは何かを理解し、筋肉が緩む位置や自然な動きを身につけ、姿勢に変化をつけることです。
[普段しないことを急に行う]
これが意外と多い原因の一つです。
・風呂掃除や庭の手入れ
・重い荷物を持っての買い物
・普段やらない体操やストレッチ
・旅行などでのイレギュラーな出来事、普段とらない姿勢
・お孫さんの世話
・仕事内容や作業姿勢の変化
・引っ越しや生活環境の変化 など
このような「いつもとは違う動き・負荷・環境」によって、身体が無意識に無理な使い方をしてしまいます。
特に、
・慣れていない動作
・長時間続く同じ動き
・急に増える負荷
これらが重なると、筋肉や関節、椎間板へのストレスが一気に高まり、腰痛につながることがあります。
【ストレス・緊張】
精神的なストレスは、自律神経を介して、全身の筋緊張を高める要因となります。
特に腰背部は、姿勢保持や日常動作で常に使われているため、無意識のうちに緊張が入りやすい部位です。
その結果、
・血流の低下
・筋疲労の蓄積
・回復の遅れ
といった状態が生じやすくなり、慢性的な違和感や腰痛につながることがあります。身体的な負担が少なく見える場合でも、
ストレスや緊張が背景にあるケースは少なくありません。
上記のような点に注意するだけでも、「ぎっくり腰になるか・ならないか」は、ほんのわずかな差(紙一重)で分かれます。
特に暑い時期は、
・睡眠の質の低下
・自律神経の乱れ
・気づかないうちの疲労蓄積
が起こりやすく、腰痛のリスクが高まりやすくなります。
少しでも
「疲れたな」「いつもと違う違和感があるな」と感じたときは、無理をせず、しっかり休む勇気も大切です。
日々の生活の中で、疲労と回復のバランスを意識しながら、身体が発している小さなサインに耳を傾けてみてください。
疲労が蓄積すると、脳の機能は徐々に低下していきます。
すると、
・状況を正しく判断する力
・身体からの感覚情報を処理する力
・適切な筋活動を指令する力
といった情報処理能力が低下し、正常で協調のとれた筋活動が行いにくくなります。
そのような状態で動作を行った瞬間、いわゆる「魔女の一撃」、「ぎくっ」とした急激な痛みが起懲りやすくなるのです。
よく「足が攣る」という話を聞いたり、
実際に経験されたことがある方も多いと思います。
一般的には、冷え、疲労、電解質(ナトリウムやカルシウムなど)の不足などが原因とされていますが、
私はそれ以上に、脳の機能低下や情報処理能力の低下こそが、重要な要因であると考えています。
脳が身体の状態を正確に把握できなくなることで、筋肉は過剰に緊張したり、逆にタイミングを失った収縮を起こしたりします。
睡眠をしっかりとり、適度に身体を動かすこと。
そして、普段しないことを行う際には、身体がどのように動いているかを意識し、イメージすることが大切です。
また、「骨休め」という言葉があるように、横になって重力の負荷を開放することも重要です。
座っていても、立っていても、私たちの身体には常に重力負荷がかかっています。
特に、椎間板(背骨と背骨の間にある水分を含んだクッション)には圧力がかかりやすく、
その負荷が積み重なることで、劣化が進行し、腰痛の原因となってしまいます。
横になる、背伸びをする、ぶら下がる──
こうした動作によって、まるでスポンジが水を吸収するように、椎間板に水分を戻してあげることが、椎間板の健康を守るうえで非常に大切です。
筋線維は、使っていても使っていなくても、縮こまり硬くなりやすくなります。
そのまま放置してしまうと、傷つきやすくなるため注意が必要です。
また、筋膜も滑走性が低下し、動きが悪くなる傾向があります。
こうした状態に対しては、ゆっくりじんわり行うストレッチやヨガが有効です。
疲れているときや痛みがあるときには、「温める」よりも「冷やす」ほうが効果的な場合があります。
筋肉はたんぱく質でできているため、運動前には適度に筋温を上げることが必要ですが、
疲労や痛みがある場合は、筋線維や細胞を休ませるために冷やすほうが適しています。
たとえば、食べ物を傷ませないように冷やすのと同じ理屈です。
冷却することで、過剰な代謝を抑え、組織の損傷や炎症の進行を防ぐ効果が期待できます。
<冷却の効果>
血管収縮作用
冷却により血管が一時的に収縮し、その後反射的に拡張することで血流が回復し、代謝が高まります。
痛み物質の代謝抑制
冷やすことで、プロスタグランジンやブラジキニンなどの発痛物質の産生・拡散を抑えることができます。
ヒスタミンの中和作用
ヒスタミンは発赤・かゆみ・浮腫・痛み・アレルギー反応を引き起こす物質ですが、冷却によってその働きが抑制されます。
筋紡錘の感受性を低下させる
筋肉内にある筋紡錘(筋の伸長を感知するセンサー)の感受性が下がることで、不随意な筋収縮(痙攣)を抑える効果があります。
痛みの閾値を上げる
冷却により、痛みを感じる神経の閾値が上がり、痛みを感じにくくなる効果が期待されます。
動物にはホメオスタシス、恒常性機能という環境の変化に対して、身体を一定に保とうとする調節機能があります。
冷やす事で一時的に細胞を休ませ、その後冷却から解放することで再び血流が回復することで代謝が促進され、以前より血流が良くなるとともに老廃物を還流させて、結果的に、腰痛の予防や治療になります。
冷湿布は気休めにしかなりませんので、予防には水シャワー、水風呂などが効果的。
痛めてからは、患部は温めない方がよく、お風呂は逆効果になるケースが多く、
アイスノンやロックアイスなどでしっかり冷やすことで治癒を早める事ができます。
特に暖かい時期は、活動量が多く、疲労が蓄積しやすいため、「意外と」腰痛が増える季節です。
少しの違和感でも軽視せず、早めの対応を心がけましょう。






