急性腰痛(いわゆるぎっくり腰)

70歳 男性 主訴 腰部痛

 

1週間前に自宅のふろ掃除をして「ギクッ」となり腰部の痛みを感じる。

特に慢性的な腰痛はないが、10年ほど前より、2年に1回くらい、ぎっくり腰になる。

痛みはあるが、何とか通常の生活は出来ており1週間過ごしていた。

今日、トイレに行こうと起き上がろうとした際に、再び「ギクッ」となり、全く動けなくなる。

四つん這いの状態が一番楽で、その状態で安静をとる。

歩行など動くことも出来ず、往診することになった。

 

〈備考〉 月1~2回のゴルフ 毎日のウオーキング30分

 

視診 

四つん這いん状態から動けず検査不可 (皮膚の異常はないようであった)

可動域検査 不可

触診 

左腰部起立筋、左腰仙部に圧痛、両腰部起立筋および臀部のトーンが高く、体全体に筋緊張が見られる

 

整形外科テスト 

バルサルバ(+)、その他不可

 

【テストができないため注意深く以下の問診を行う】

 

・最近転倒や怪我はなかったか

・安静にしていても痛みはあるか

・胸の痛み、癌の病歴

・ステロイドなどの服用、その他薬の服用

・体調不良などの自覚の有無

・体重減少

・排尿排便障害、肛門や会陰部の感覚はどうか

・腹部の痛み、拍動

・尿路結石や他の結石の既往歴

全て陰性であった。

 

評価/分析

 

問診から治療の禁忌となる所見は見当たらない。

大動脈解離などの最悪なケースを想定したが安静時痛がないようなので、心配ないであろうと伝える。

おそらく腰部起立筋の捻挫のようなものであろうと思われ、少しでも体を動かすと仙骨部、腰部の筋肉に激しい痛みが出現することから、筋肉、軟部組織の問題と推測する。

 

治療

 

・全身に対する筋緩和操作

・仙腸関節、椎間関節へのモビリゼーション 特に上部頸椎、胸椎、腰仙移行部

・星状神経節、腰部起立筋へスーパーライザー照射

 

初診の際は、何とか腹臥位になっていただき、左仙腸関節と椎間関節のみ軽い刺激によるモビリゼーションと冷却のみ。

ケア後は筋肉の張り具合が少し緩和するが、まだ動ける状態ではなかった。

 

3日後、杖をついて歩くことができるようになり、往診ではなく来院していただいた。

 

 

(中略)

 

 

 

治療2日目での評価

 

・上部頸椎の異常による自然治癒力の低下

・仙腸関節機能低下

・腰椎前弯減少

 

 

(中略)

 

 

初診から8日後 4回目の治療

 

視診

 

腰部の前弯減少、全体的に脊柱がフラット

可動域検査

胸腰部 屈曲30° 伸展20°右側屈30° 左側屈30° 右回旋30° 左回旋30°

 

触診

 

起立筋の緊張がなくほぼ正常、第一頸椎右変位、両仙腸関節ともに良好

 

考察

 

初診から4回の治療にてほぼ改善した。

初診時の往診での状態は、かなり重症であったが冷静問診対処できたことで、結果的に経過も良好であった。

急性腰痛の対処法としての知識を再度、確認し勉強したいと考えさせられるケースであった。

重大な脊椎病変の悪性腫瘍、脊椎感染症、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎などではないのか、今後も適切な判断、対処ができるようにしていかなければならない。

また、腰部の前弯減少に関しては、年齢的に椎間関節に対しての過剰刺激を加えてはならず、狭窄症などによる神経症状の出現の可能性を考慮した上での、注意深い軽度なマッケンジー体操など、身体を反らす体操を指導した。