慢性的筋緊張

【サブラクセーションが脊椎の筋緊張と交感神経の亢進をもたらす科学的論拠】

 

【サブラクセーションの定義】

サブラクセーションとは、神経系の健全さに影響を及ぼす、機能的、構造的、病理的な関節変化の複合で各器官の機能や健康全般に影響を与える可能性がある。

 

【構成要素】

・ミスアライメント(空間的な位置異常)

・運動の過剰または制限

・機能異常(痛みを伴わないこともある)

 

【脊椎筋が緊張の亢進する理由】

1.辺縁系の機能障害

身体内外の情報を感覚情報として受け取り対処する。

獲物を認識して捕まえたり、危険を察知して逃げる、このように対処として働く中枢。

本能行動(摂食、生殖)や情動(感情による威嚇、親愛好意、発汗、血圧変化など)に作用することから情動脳と呼ばれ、同時に記憶する役割も果たす。

このことから、感情と記憶をコントロールし機能が障害されたり、ストレスやトラウマなどからネガティブな感情や記憶が交感神経の緊張を亢進させ、身体の防衛反射が筋肉を緊張させる。

 

2.脊椎分節の機能障害

サブラクセーションが固有受容器(筋、腱、関節、内耳に存在し、筋の収縮程度、腱にかかる張力、関節の位置、頭の傾き、頭部の位置などの固有感覚と呼ばれる感覚を発する受容器)から侵害刺激を送り反射的に筋緊張が起こる。

 

3.疼痛に対する反射性スパズム

疼痛によって交感神経活動が亢進するために血管収縮が起こり虚血に陥りやすい。または痛みによって力が入り、筋性防衛的に反射し収縮する。持続収縮(スパズム)はさらに痛みを発し、交感神経活動を亢進させ筋肉を緊張させる。

 

4.トリガーポイント

骨格筋にある刺激に過敏な場所に認められる硬結中に触知できる過敏な小結節と関連があり、その場所に圧痛があり、特有な関連痛や関連性の過敏、ジャンピングサイン、運動機能障害、自律神経症状が生じ、筋の柔軟性を低下させ、固有受容器を混乱させ筋緊張を生じさせる。

 

5.筋のこわばり

筋組織の縮こまり固まり、虚血に陥り、3つの反射性スパズムから悪循環になり、筋緊張を亢進、慢性化させる。

 

 

 【慢性的分節促通】

脊椎筋が緊張すると、筋の固有受容器が刺激される。

固有受容器は中枢神経組織に情報を提供する。

筋受容器は少なくとも次の4つの受容器がある。筋紡錘、ゴルジ腱器官、パチニ小体、自由神経終末があり、本来であれば無くても良い刺激が入り、脊髄と中枢神経組織に支障が及ぶ。

筋受容器から起こった刺激は、脊髄に向かって上行していく、そして脊髄の二次ニューロンに伝達され、視床や脳に疼痛を伝導する。すると二次ニューロンの閾値が低下させてしまい、刺激に対して閾値を越えやすくなる。比較的早い段階で刺激に対し反応が出てきてしまう。

閾値が低下したまま過ごすと、身体のあらゆる部位(別の部位)から伝わるインパルスに過剰に反応が出てきてしまう。二次ニューロンというのは、筋から上がってきた求心性神経のところがシナプスでつながる。

脊髄において筋を神経支配する前角細胞、および交感神経の一部をなす側角細胞とシナプスで接する。筋の張り具合(トーン)の調整と交感神経を活発にしていく側面がある。

側角細胞の持続的刺激が交感神経亢進、筋骨格系障害や内臓機能障害につながる。

サブラクセーションがあるということは、以上のような悪循環を招き、慢性的に脊椎筋の緊張と交感神経の亢進を永続させると考える。

 

 

参考文献など

カイロプラクティックサブラクセーション エンタープライズ

東京カレッジオブカイロプラクティック 岡大先生 カイロプラクティック概論講義より