筋肉・筋膜の小さな傷による急性腰痛(ぎっくり腰)
多くのぎっくり腰や急性腰痛は、腰の筋肉や筋膜にできたごく小さな傷(微細損傷)が原因と考えられています。
この「微細損傷」は、目で見たり、通常のレントゲン検査では確認できず、MRIでも軽い場合は映らないことがあるほどとても小さなレベルの傷です。
こうした損傷は、数日〜数週間で自然に修復されることがほとんどで、それに伴って痛みも徐々に軽くなっていきます。
強い痛みが出ると不安になる方も多いですが、多くの場合、必要以上に心配する必要はありません。
適切に対応すれば、自然に回復していくケースが大半です。
このタイプの腰痛の特徴
【画像検査では見つかりにくい】
・通常のレントゲンでは確認できません
・MRIでも、炎症や腫れがはっきりしていない場合は映らないことがあります
※なお、MRIは椎間板の状態を確認するには有用な検査です
【痛みの出方には個人差があります】
・軽い場合は、ほとんど痛みを感じないまま経過することもあります
・後から炎症が出て、数時間〜数日して痛みが強くなることもあります
・傷は小さくても、強い痛みで動けなくなる場合もあります
【繰り返すと負担が蓄積することがあります】
小さな負担が続くと、微細な傷が積み重なり → 組織が弱くなり → 大きなトラブルにつながる可能性があります。
背景には、加齢による変化や椎間板の変性などが関係していることも多く、
早めのケアや、腰に負担をかけにくい生活習慣が大切です。
どんなときに起こりやすいか
次のような状態が重なると、体の感覚と動きのコントロールにズレが生じやすくなります。
・疲れがたまっているとき
・体調がすぐれないとき
・気持ちや時間に余裕がないとき
・自信が持てない、緊張しているとき
・環境が悪い(寒さ、足場が不安定など)
・予想外の出来事が起きたとき (イメージの違いなど)
このような状況では、
脳(中枢神経)・神経・筋肉や関節の連携がうまくいかず、
「思った動き」と「実際の動き」にズレが生じやすくなります。
そのズレが、筋肉や筋膜への過剰な負担につながることがあります。
どのような動作で起こるのか
その結果、何気ない日常の動きがきっかけになることがあります。
・前かがみになったとき
・立ち上がるときや、起き上がるとき
・体を反らす動きをしたとき
・体をひねったとき
・重い物を持ち上げたとき
普段であれば問題のない動作でも、体調が整っていないときや、疲労・集中力が低下しているときには、
体の連携にずれが生じ、筋肉や筋膜に負担がかかって損傷することがあります。
こうした動作によって、腰の筋肉や筋膜にごく小さな裂け目が生じます。
すると体は、その傷を治そうとして、
炎症を起こす物質(炎症性サイトカインやプロスタグランジン)を出します。
これは回復のために必要な反応ですが、同時に、腫れや痛みの原因にもなります。
その結果、周囲の筋肉が無意識に緊張し、強い痛みや、動かしにくさが現れてきます。
一般的な回復の経過
・発症直後〜2日ほど痛みが最も強く、動くのがつらい時期
・数日〜1週間
炎症がおさまり、少しずつ動けるようになる
・2〜3週間
組織が修復され、日常生活にほぼ戻れることが多い
「あえて何もしない」「無理をしない」ことも大切です
痛みがあるうちに無理をすると、小さな傷 → さらに傷が広がる → 回復が長引くという流れになることがあります。
特に、
・痛み止めを飲んで無理に動く
・自己判断で急に活動量を増やす
こうした行動は、再発や長期化の原因になりやすいため注意が必要です。
体の中では、こんな小さな傷が起こります
・筋肉:筋線維の一部が傷つく
・腱・靭帯:繊維が少しほつれる
・関節軟骨:表面に小さな傷ができる
・血管:細い血管にごく小さな損傷
・神経:まれに傷つくことがあり、この場合はしびれを伴うことがあります
筋肉・筋膜が原因の場合の特徴
・傷はとても小さい
・画像検査ではほとんど映らない
・体が修復しようとする過程で、痛みやこわばりが出る
他の原因が隠れていることもあります
・腰の関節の軽い捻挫
・椎間板の表面の小さな傷
・靭帯の微細な損傷
ただし、最も多いのは筋肉や筋膜によるものです。
大切なことなので、もう一度
痛みが強いと不安になりますが、多くの急性腰痛は、時間と適切な対応によって自然に回復していきます。
「あえて何もしない」という選択が、必要な場合もあります。
焦らず、体が本来持っている回復力を活かしながら、無理のないケアを行っていくことが大切です。







