痛いからといって、必要以上に大事にし過ぎると、かえって身体の機能が落ちやすくなることがあります
理由は、
1.痛みがあると、その場所をかばうようになる
痛みがあると、脳や脊髄は「そこをあまり動かさないほうがよい」と判断しやすくなります。
そのため、腰を細かく支える深部の筋肉は、必要なタイミングでうまく働きにくくなります。
これは、最初から筋肉そのものが弱くなるというより、まずは「痛いので力を入れにくい」「無意識にかばってしまう」という反応です。
2.関節や筋肉の状態を伝える情報が、正確に入りにくくなる
深部の筋肉は、ただ力を出すだけでなく、筋肉や腱、関節包などの固有受容器から入る情報をもとに、関節の位置や動きを細かく調整しながら働いています。
しかし、痛みや炎症、関節の動きの低下があると、その情報が脳に正確に伝わりにくくなります。
すると脳は、「どの筋肉を、どの順番で、どれくらい使えばよいか」を判断しにくくなり、深い筋肉がうまく働けなくなります。
3.表面の大きな筋肉が、代わりに頑張り過ぎるため
深部の筋肉がうまく使えないと、身体は代わりに表面の大きな筋肉で支えようとします。
すると、一見支えられているようでも、実際には必要以上に力が入りやすくなり、張りやこわばりが強くなります。
その結果、本来細かい調整をするはずの深い筋肉はますます使われにくくなります。
4.痛みを避ける動きが、そのまま癖になっていくため
痛みがあると、人は無意識に痛くない動きを選ぶようになります。
最初は身体を守るために必要な反応ですが、それが長く続くと、「かばう動き」がいつもの動きとして定着してしまいます。
すると、本来使うべき筋肉が使われないままになり、偏った動き方が続きやすくなります。
5.使わない状態が続くと、本当に機能が落ちていくため
最初は「痛いから使いにくい」という段階でも、それが長く続くと、実際に筋肉の反応が遅くなったり、持久力が落ちたり、筋肉がやせてきたりします。
関節も動きにくくなり、血流や体液の循環も低下しやすくなります。
その結果、少し動いただけでもこわばりや痛みを感じやすくなり、さらに動かなくなるという悪循環に入りやすくなります。
まとめると、
痛みがある
→ その場所をかばう
→ 深部の体を支える筋肉が使いにくくなる
→ 表面の筋肉ばかり緊張する
→ かばう動きが癖になる
→ 動かない時間が増える
→ 筋肉や関節の機能、循環がさらに低下する
という流れで、身体は少しずつ動きにくくなっていきます。
特に懸念されるのは、
痛い
→ 動けない
→ 動かない
→ 血流や体液循環が低下する
→ 神経・筋肉・軟部組織の働きが落ちる
→ さらに動きにくくなる
→ 廃用が進みやすくなる
という悪循環です。
このような状態が続くと、身体機能が低下しやすくなるだけでなく、精神的な負担も大きくなります。場合によっては、気分の落ち込みや抑うつ状態、うつ病を伴うこともあります。
また、痛みが長引き、活動量の低下が続くと、廃用症候群(使わない状態が続くことで、心身の機能が低下していく状態)につながることがあります。
そのため、痛みがあるときは無理をする必要はありませんが、必要以上に安静にし過ぎることにも注意が必要です。身体の状態をみながら、無理のない範囲で少しずつ動きを保つことが大切です。






